高齢者が補聴器の装着を嫌がる理由と対策とは?補聴器の選び方についても解説
高齢者が補聴器を装着しないことによるリスク
聞こえに不安がある高齢者が補聴器を装着しないことで、さまざまなリスクが発生します。ここでは、リスクを3つに分けて解説します。
認知症が発症・進行するリスク
聞こえが悪い状態を放置していると、認知症の発症、進行リスクが高まります。音による刺激が減ると、神経細胞が衰えていき、会話が上手くつながりません。その結果、周囲とコミュニケーションが取りにくくなり、引きこもりがちになります。社会との交流が減少することで、精神面にも健康面にも影響を与え、抗うつ状態になると考えられています。
交通事故に遭うリスク
補聴器を装着しないと、交通事故に遭遇するリスクが高まるでしょう。加齢とともに高い周波数が聞こえにくくなり、車の接近に気づきにくいためです。また、交通事故を起こすリスクも高まります。
カーナビの音声が聞き取れないと、カーラジオやステレオの音を必然的に大きくすることになります。その結果、クラクションを聞き取れなくなったり、後続車の追い越しに気づけなかったり、ヒヤリとすることが増えるためです。
聞こえにくい人は聴力を補うために、常に脳に負荷がかかっている状態です。道路状況や標識の判断を求められる運転は、脳に過度の負荷がかかるため、認知能力が下がり、事故の発生につながりかねません。
転倒するリスク
聴力には、重力や回転、加速などの情報を脳に伝える役割があります。そのため、耳の聞こえにくさは転倒リスクを高めると考えられています。転倒して骨折した場合、要介護状態に陥りやすくなることも懸念材料の1つです。転倒・転落の事故発生件数は、交通事故の4倍以上です。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査で、聴覚情報が制限されると一連の障害物回避動作のばらつきが大きくなるため、円滑な障害物の回避行動が阻害されることが明らかになりました。以前は、高齢者に転倒が多く見られる背景メカニズムは、明らかにされていませんでした。聴覚情報には、運動を安定させる働きがあることがわかっています。
※参考:「―難聴の高齢者が転倒しやすいのはなぜか?―聴覚情報が制限されると円滑な障害物の回避行動が阻害されることが明らかに」|東京都健康長寿医療センター
高齢者が補聴器を早期に使うメリット
高齢者は、早期に補聴器を使うことが望ましいとされています。メリットを解説します。
言葉の聞き取りが保たれやすい
早期に補聴器を使い始めることで、言葉の聞き取りを正常に保てます。音が聞き取れない状態が長時間続くと、次第に音を忘れていき、かつては聞こえていた単語の聞き取りも困難になってしまいます。脳には、入ってきた音を過去の経験に基づいて分析、判断する機能があるためです。音の聞き取りを保つことは、周囲とのコミュニケーションを維持するためにも重要です。
補聴器を使うことに慣れやすい
早期に補聴器を利用することは、年齢を重ねても補聴器を困難なく取り扱えるメリットにつながります。耳に装着できるほどの大きさしかない補聴器は、電池交換(充電器に取り付け)や音量プログラムの操作など、指先の細かな操作が必要です。細かな操作は、年齢問わず難しいものです。早い段階で補聴器を取り入れることで、少ない負担で補聴器を使い進められるでしょう。
補聴器を使うタイミング
高齢者に補聴器を装着してもらいたいと考えても、そのタイミングはわかりにくいこともあるでしょう。補聴器を使い始めるタイミングを解説します。
聞こえにくさを自覚したり、中等度難聴と診断されたりしたら
日本聴覚医学会難聴対策委員会やWHOは、中等度難聴での補聴器利用を推奨しています。しかし、軽度難聴でも補聴器の適応となることもあります。補聴器は、聞こえの困難を自覚した早期から装用すべきです。軽度難聴でも補聴器を装着することで、大勢での会話を楽しめたり、仕事での重要な会話を聞き取れたりするメリットにつながります。
なお、中等度難聴、軽度難聴の基準は以下のとおりです。
- 中等度難聴:平均聴力レベルが40dB以上70dB未満で、通常の声の大きさでの会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する場合
- 軽度難聴:平均聴力レベル25dB以上40dB未満で、「会話が聞き取りにくくなったかな?」と感じる場合
※参考:1 難聴対策委員会報告 ‐難聴(聴覚障害)の程度分類について|日本聴覚医学会
普段の会話に不便を感じたら
普段の会話で聞き返すことが多ければ、補聴器を検討するタイミングです。会話に不便さを感じる人は、40dB以上の難聴に該当している恐れがあります。
高齢者が補聴器を嫌がる理由
高齢者に補聴器の装着を依頼したものの、嫌がられた経験を持つ人は少なくありません。高齢者が補聴器を嫌がる理由を、5つに分けて解説します。
装着や手入れを面倒に感じている
高齢者は、手先の細かい作業が不得手な人が多く、補聴器の装着や電池交換、手入れなどの手間を負担に感じ、装着を嫌がる場合があります。
補聴器に効果があるか疑問に感じている
補聴器の性能は、平成に入ってから飛躍的に伸びました。しかし、かつての補聴器のイメージから効果に懐疑的な高齢者も多くいます。また、以前、補聴器を使ったときに効果をいまいち実感できなかったため、抵抗を感じている人も少なくないでしょう。
日常生活の困り度が少ないため
聞こえは急激に悪くなるのではなく、緩やかに低下していきます。日常生活の困り度が少なく、本人が気づきにくいため装着を嫌がることがあります。周囲が声を大きくする、耳元で話すなど周囲の配慮により自覚が遅れることも、困り度を感じにくい理由の1つです。
周囲に補聴器を装着していることを知られたくないため
補聴器の装用が恥ずかしい、知られたくないと考える人は少なくありません。補聴器=高齢者と証明するものだと考える人も多く、年を取っていると思われたくないことから補聴器を嫌がる傾向にあります。
補聴器の値段を負担に感じているため
補聴器の金額は、平均で、片耳あたり10~30万円程度です。ただし、必要な金額は一定ではありません。高機能な機種では、70〜100万円を超えることもあり、症状によっては平均以上の金額がかかる場合もあります。値段に見合った効果が期待できるかわからない、金銭面で余裕がないなどの理由で、補聴器を嫌がる高齢者もいます。
補聴器を嫌がる高齢者に装用してもらうための方法
補聴器を嫌がる高齢者でも、装用してもらえる方法を4つに分けて解説します。
装着や手入れが簡単なタイプを選ぶ
ケースから取り出せば自動で電源が入る、ワンタッチで装用できるなど、装用や手入れが簡単な補聴器をすすめましょう。防水機能があれば、雨に濡れても補聴器を外さずに使えます。電池交換が必要な補聴器は、家族や介護者がフォローすることで、装用のハードルが下がる場合もあります。
補聴器を実際に試してもらう
補聴器の効果に懐疑的であったり、日常で必要性を感じていなかったりする高齢者には、補聴器を使えば聞こえやすくなる、便利だと実感してもらうことが大切です。実際に補聴器を試して、効果を実感してもらいましょう。
小さくて目立ちにくい補聴器をすすめる
補聴器を使っていることを周囲に知られたくない高齢者には、小型のものやデザイン性に優れたものをすすめましょう。 耳掛け型は耳のうしろに沿わせて装着するため、小さなタイプなら、あまり目立ちません。
耳の穴の中へ挿入して使う耳穴型のなかには、小指の爪ほどの大きさしかないものもあります。 あえて見せて使う「イヤホンタイプ」の補聴器は、ワイヤレスイヤホンのような見た目で、おしゃれです。
リースや助成制度を利用する
リースの補聴器を借りる、国や自治体の助成金制度を利用するなどの方法を利用すれば、初期費用が抑えられます。補助金制度は、自治体により異なるため、事前に確認しましょう。聞こえにくさの度合いによっては身体障害者手帳が取得でき、補聴器を購入する際に補助金を受けられます。等級により補助金額が異なるため、事前に確認しましょう。
補聴器の選び方
補聴器の選び方を、2つの視点から解説します。
装用のしやすさで選ぶ
手先の細かい作業に不安がある人でも、装着しやすい補聴器を選びましょう。補聴器のタイプには、摩擦が少なく掴みにくいものや、耳の形によっては装用が難しいものもあります。耳掛け型のうち、BTEタイプは大きくて操作しやすい特徴があります。
ライフスタイルに合わせて、充電式と電池式の補聴器を選ぶ
補聴器は充電式と電池式に分けられます。ライフスタイルに合わせて、いずれかを選びましょう。電池式は、補聴器の電池は、5〜10mmのものがほとんどで、細かな作業が負担になる場合があります。充電式補聴器は、夜寝る前にしっかり充電しておけば、日中に電池が切れる心配が減らせるでしょう。
ただし、一概に充電式が電池式より優れているとは限りません。家族や介護者が交換できるなら、電池式でも問題はないでしょう。
まとめ
高齢者が補聴器を嫌がる理由には、装用や手入れが面倒、日常に困っていないなどの理由があります。しかし、高齢者の聞こえにくさは認知症や転倒のリスクが高まり、健康や精神面にも大きな影響を与えることがわかっています。操作が簡単なもの、目立たないものなど、ライフスタイルや本人の負担を考えて、補聴器をすすめましょう。
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