補聴器の歴史|電気式補聴器が開発される前から現在の補聴器の特徴も解説
補聴器が発明される以前
補聴器が発明される以前、人々は自然界にあるものを利用して音を拾っていたと考えられています。補聴器ができる前の歴史を解説します。
自然界にあるものを利用
補聴器が発明されるまで、人々は動物のツノや巻貝、木片など、中が空洞になっている筒状のものを耳に当てて、音を拾ったり小さな音を聞き分けたりしていました。
偶然、耳に当てる動作をしたところ、音が大きく聞こえることに気が付いたと考えられています。
電気式補聴器が発明される前までの歴史
自然界のものを補聴器の代わりに使っていた時代が終わり、補聴器が作られるようになりました。電気式補聴器が発明される前までの歴史について解説します。
ラッパ型補聴器の流行
16世紀ごろには耳に当てる部分が細く、音を拾う部分が広い形状のラッパ型の補聴器が作られるようになりました。
主にヨーロッパ方面で流行し、17世紀ごろにはさまざまなデザインの補聴器が作られ始めます。ベートーヴェンは、全長50cmを超える金属製の補聴器を使っていたという記録があります。
トランペット型補聴器の発明
トランペット型の補聴器は、1646年にドイツの学者アタナシウス・キルヒャーによって発明されました。
キルヒャーは古代エジプトや中国研究の第一人者として知られ、地質学・医学など広範囲にわたる分野で名声を得た人物です。このアタナシウス・キルヒャーによる補聴器が、記録として残っている最古の補聴器となります。
電気式補聴器が発明された後の歴史
ラッパ型、トランペット型の補聴器を経て、18世紀には電気式補聴器が発明されました。電気式補聴器が発明された歴史を解説します。
電気式補聴器が発明される
電話の技術は、電気式補聴器が発明された歴史に大きく影響しています。電話は、1876年にグラハム・ベルが発明しました。
1878年には、補聴器メーカーとして名高い会社の1つであるドイツのシーメンス社が、難聴者向けの電話受話器を発明します。同年、イギリスとドイツで電気装置を使った聴力検査が開始されました。
その後、電話の技術を応用した電気式の補聴器の開発が始まります。1900年代初頭には、補聴器メーカーが誕生します。
そのうちの1つ、オーティコン社は1904年にデンマークのハンス・デマントによって設立されました。なお、1892年にはアメリカのミルティモア社が電気式補聴器の特許を取得しています。
電気式補聴器が開発された当初は、持ち運びができないほど大きかった記録があります。
今のような持ち運びができる電気式補聴器が発明されたのは、1898年のことです。アメリカのミラー・リース・ハチソンが、「アコーフォーン」と呼ばれる携帯型補聴器を製作しました。
電気式補聴器とは
電気式補聴器とは、音を電気信号に変換することで、より音を大きく増幅させる特徴を持つ補聴器です。電気式補聴器が発明されたことにより、音量や音質が調整(フィッティング)できるようになりました。
デジタル型補聴器が完成するまでの歴史
電気式補聴器が開発されて、デジタル型補聴器が完成するまでの歴史について解説します。
真空管アンプを使用した補聴器の登場
1920年代には、真空管増幅器を用いた補聴器が登場します。補聴器の小型化に成功したものの、まだ弁当箱くらいの大きさがありました。
1937年にアメリカでポケット型補聴器が発売されると、1943年にシーメンス社がコンデンサーマイクロホン式携帯型補聴器を開発します。
1951年には、シーメンス社が真空管アンプ式ポケット型補聴器を発売しました。なお、真空管型の補聴器は発熱しやすく寿命が短いデメリットがあります。
トランジスタ型補聴器の登場
1953年にアメリカのアコースティコン社、イギリスのアンプリボックス社がポケット型トランジスタ補聴器を発売したことをきっかけに、補聴器の小型化はさらに進みます。
1955年、アメリカのダルバーグ社が耳あな型補聴器を開発しました。続いて、1959年にドイツのシーメンス社が耳かけ型補聴器を開発しました。
ICチップ型補聴器の登場
1964年には、アメリカのゼニス社がIC回路式補聴器を発売します。日本国内では、1966年にコルチトーン補聴器が、補聴器にICチップを初めて採用しました。
プログラマブル補聴器の登場
1980年代後半にはプログラマブル補聴器が開発されました。プログラマブル補聴器とは、信号処理はアナログ回路で、制御はデジタル回路による補聴器のことです。
アナログ型補聴器からデジタル型補聴器への展開
アナログ型補聴器からデジタル型補聴器へ展開した背景には、それぞれの特徴があります。
トランジスタ型補聴器をはじめとするアナログ型の補聴器は、1人ひとりの聞こえに精密に合わせた調整(フィッティング)が困難です。入ってくる音を素直に増幅するため、不要な会話も大きくなる、音量を上げるとハウリングするといった問題点があります。
不要な音や騒音などを抑えて声のみを大きくする加工のために、デジタル化が進められました。
現在、主流はデジタル型補聴器ですが、アナログ型補聴器にはデジタル型補聴器に比べて音量感が強く増幅もシンプルな分、自然な音を届けられるメリットがあります。
デジタル型補聴器の登場
デジタル型補聴器は20世紀後半になって登場しました。デジタル型補聴器の歴史とメリットを解説します。
デジタル型補聴器の登場
1983年にアコースティコン社が初期の携帯式デジタル型補聴器を開発すると、1987年にアメリカのニコレット社が続きました。同年、スイスのバーナフォン社とドイツのワイデックス社が、デジタルプログラマブル補聴器を発売しました。
1991年には日本のリオン社から世界初のデジタル型補聴器が発売されます。発売当初は、ポケット型と呼ばれる小さな箱型でした。
1996年にはデンマークのワイデックス社から耳掛け型のデジタル型補聴器が発売され、オーダーメイドタイプも発売されました。同時期にオーティコン社がデジタル型補聴器を発売しました。
デジタル型補聴器のメリット
デジタル型補聴器は、騒音のなかでも声を聴きとれる特徴があります。音量や音質を調整(フィッティング)できる、ハウリング抑制・雑音抑制の機能を搭載したり、周波数の音の大きさを自由に設定したりできることもデジタル型補聴器のメリットです。
2000年以降の補聴器の歴史と最新機能
2000年以降の補聴器の歴史と最新機能について解説します。
2000年以降の補聴器の歴史
2003年にGNリサウンド(現・GNヒヤリング)社から超小型耳掛け型補聴器、オープンフィッティングタイプが発売されました。2006年には、外付けレシーバータイプ(RIC補聴器)が市場を占めるようになりました。
また、2007年にワイヤレス通信機能を持った補聴器が登場したことにより、補聴器の音量をスマートフォンで調節したり、音楽プレーヤーとワイヤレスに通信したりできるようになりました。2016年にオーティコン補聴器から発売されたのは、インターネットに接続可能な補聴器「Opn(オープン)」です。
リモートコントロール機能や、ユーザーの使用状況を補聴器本体に記録する機能であるデータロギングに対応しています。
2011年には、ドイツのシーメンス社が防水タイプの補聴器を発売、2014年にはデンマークのGNリサウンド社が、Bluetoothを利用したスマート補聴器を発売し、現在に至ります。
最新の補聴器の機能
現在の補聴器は音を増幅させるだけに留まらず、さまざまな機能を兼ね備えたものが発売されています。最新の補聴器にある機能の例は以下のとおりです。
・翻訳機能
・メール受信お知らせ機能
・オンライン会話音量調整(フィッティング)
耳に装着する以外に、骨伝導型やメガネ型、頭部に埋め込む人工内耳型も開発されています。
まとめ
ラッパ型、トランペット型の大きな補聴器が開発されて以降、18世紀には電気式補聴器が発明されて、アナログ型からデジタル型へと形を変えていきました。
現在は、翻訳機能やメール受信お知らせ機能など、さまざまな機能を持ったものや骨伝導型やメガネ型などのタイプが発売されています。
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